
「ピンポーン」とインターホンが鳴ったけれど、今は出たくない。知らない人だし、無視してしまおう。
そんな理由で居留守を使った経験がある方は、きっと少なくないはずです。忙しいときや体調がすぐれないとき、防犯のためなど、居留守にはさまざまな理由があります。
ただし、居留守は使い方や状況によっては、思わぬトラブルや危険につながることがあります。
この記事では、居留守が特に危険になりやすいケースを具体的に解説しながら、どんな点に注意すればよいのかをやさしくお伝えします。怖がらせることが目的ではなく、安全に判断するための知識として、ぜひ参考にしてください。
居留守は「状況次第」で危険になる
居留守は、相手に直接対応しなくて済む便利な方法です。 ただし安全かどうかは、「居留守をした」という事実よりも、次の3点がそろっているかどうかで決まります。
- 相手が誰か、目的が何か(相手の性質)
- 自宅の状況がどう見えているか(在宅がバレる要素)
- その場の環境がどうか(時間帯や周囲の助けやすさ)
ここをざっくり言うと、居留守が危険になるのは「相手が不審」だからだけではありません。
相手にとって 「中に人がいるのに反応しない」 「留守のはずなのに生活音がする」 「次は別の時間に来れば会える」 という材料がそろうと、相手の行動が長引いたり、しつこくなったり、確認行動に変わったりしやすくなります。
危険度が上がる3つのパターン
1. 在宅が分かるのに反応しない
室内の明かり、生活音、玄関付近の物音などで在宅が伝わると、相手が「無視された」と受け取る可能性があります。 訪問販売や勧誘のように粘るタイプだと、長時間居座るきっかけになることがあります。
2. 相手が「確認」を目的にし始める
一度居留守をすると、相手が 「留守なのか」 「在宅なのか」 「同居人がいるのか」 を見極めようとして、次のような行動に出ることがあります。
- インターホンを複数回鳴らす
- 時間を置いて再訪する
- 玄関前で待つ
もちろん、こうした行動が必ず危険というわけではありません。 ただ「相手が引き下がらない理由」が見えたときは、対応を変える合図になります。
3. 周囲の条件が悪い
夜間、人通りが少ない、近所に助けを求めにくいなど、環境条件が悪いときは危険度が上がりやすいです。
同じ居留守でも、昼間より夜間の方が不安が大きくなりやすいのはこのためです。
30秒でできる判断基準|居留守を続けていいかチェック
迷ったときは、次の項目を心の中で確認してみてください。
当てはまるほど「居留守だけで済ませない方がいい」可能性が高まります。
- 生活音や明かりで在宅が分かりそう
- 相手が長く居座っている/何度も鳴らしている
- 同じ人が繰り返し訪問している
- 夜間や人通りが少ない時間帯
- 玄関付近で不自然な気配がある
当てはまる場合は、無理にドアを開ける必要はありません。 その代わりに、インターホン越しに用件を確認する、録画で顔を確認する、家族や管理会社に相談するなど、次の一手を考える方が安心です。
安全寄りの選択肢|「出ない」以外の対応も持っておく
居留守のリスクを下げるには、 「出る・出ない」の二択から抜けることがコツです。
- 録画で確認して、必要な相手だけ折り返す
- インターホン越しに要件だけ聞く(ドアは開けない)
- 不安なら家族に連絡、集合住宅なら管理会社に相談
怖いと感じたときは、判断力が落ちやすいものです。 あらかじめ「こういう時はこうする」と決めておくと、落ち着いて対応しやすくなります。
ケース1|在宅がはっきり分かる状況での居留守
生活音や明かりがあると危険度が上がる
次のような状態は、外からでも在宅が分かりやすくなります。
- テレビや音楽の音が玄関先まで聞こえている
- 洗濯機や掃除機の作動音がしている
- 夜間に部屋の電気がはっきり点灯している
このような状況で居留守を使うと、「中に人がいるのに無視している」と相手に判断されやすくなります。
訪問販売や勧誘の場合、無視されたことで相手がしつこくなったり、長時間居座ったりするケースもあります。相手の感情を刺激してしまう可能性がある点は、意外と見落とされがちです。
ケース2|同じ相手が何度も訪ねてくる場合
繰り返しの訪問は注意サイン
次のような行動が見られる場合は、慎重な対応が必要です。
- 数日おきに同じ時間帯に訪問してくる
- インターホンを何度も鳴らす
- 玄関先で長時間待っている様子がある
居留守を続けることで、相手が「留守なのか、それとも無視しているのか」を確かめようと行動を強めることがあります。
特に、住人の生活リズムを把握されてしまうと、防犯面での不安が大きくなります。
違和感を覚えた場合は、無理に我慢せず、別の対応を考えることが大切です。
ケース3|一人暮らしの場合に注意したいポイント
一人暮らしでは、居留守が防犯上の弱点になることがあります。
- 反応がないことで「留守」と判断されやすい
- 外部から状況を探られやすい
- 助けを呼べる人が近くにいない
特に女性の一人暮らしでは、不安を感じる場面も多いでしょう。
居留守が必ずしも安全とは限らないため、録画機能付きインターホンの活用や、在宅を悟られにくい工夫が重要になります。
ケース4|高齢者世帯で起こりやすいリスク
高齢者世帯では、居留守が思わぬ誤解を招くことがあります。
- 体調不良や転倒などの異変に気づかれにくい
- 周囲から安否確認が遅れる
- 対応できない状態だと誤解される
訪問があった際にまったく反応がないと、必要な支援や連絡が遅れてしまうことも考えられます。
高齢者の場合は、完全に無視するのではなく、状況に応じた対応を家族で話し合っておくと安心です。
ケース5|宅配・点検・公的機関を装った訪問
近年は、次のような名目を使った訪問も増えています。
- 宅配業者を名乗る
- ガス・水道・電気の点検と言う
- 役所関係や近所トラブルを理由にする
居留守を使ったことで相手が諦める場合もありますが、別の時間帯に再訪されるケースもあります。
内容が不明な場合は、インターホン越しで用件を確認し、必要であれば公式窓口に問い合わせることが安心につながります。
ケース6|夜間や人通りの少ない時間帯
夜遅い時間帯や人通りが少ない環境では、居留守のリスクが高まりやすくなります。
- 周囲が静かで生活音が目立つ
- 助けを求めにくい
- 相手が長時間その場に留まりやすい
このような状況では、無理に判断せず、インターホン越しで確認する方が安全な場合もあります。怖いと感じたときは、無理をしないことが最優先です。
居留守が危険になりにくい判断ポイント
居留守は、すべての場面で危険というわけではありません。
大切なのは「なんとなく出ない」ではなく、状況を見て、危険度が低いと判断できる材料がそろっているかどうかです。
ここでは、居留守が比較的安全になりやすい判断ポイントを、分かりやすく深掘りします。
ポイント1|相手がすぐ立ち去る
インターホンが鳴っても、相手が短時間で離れる場合は、粘着性が低い可能性があります。
- 1回鳴らしてすぐ去る
- 玄関前で長く待たない
- 同じ日に何度も鳴らさない
こうした行動は「用件があればまた改めて連絡する」というタイプの訪問であることも多く、居留守で危険度が上がりにくい傾向があります。
ただし、短時間で去ったとしても、同じ相手が時間帯を変えて繰り返し来る場合は別です。
後述のポイントも合わせて見て判断しましょう。
ポイント2|録画・履歴で相手が確認できる
録画機能や履歴があると、居留守の安全度は上がります。 理由は、相手が誰かを客観的に確認でき、必要なら後から対応できるからです。
- 宅配業者かどうかの判断がしやすい
- 不審な訪問が続いていないか見返せる
- 同じ人物の再訪に気づける
録画があるだけで、「その場で判断してドアを開ける」リスクを減らせます。
ポイント3|在宅がバレにくい環境になっている
居留守が危険になりやすいのは「中にいるのが分かるのに反応しない」状態のときです。 逆に言えば、在宅が伝わりにくい状態なら、居留守のリスクは下がります。
- 玄関付近まで生活音が届いていない
- カーテンや照明で外からの見え方が目立ちにくい
- 玄関前に人がいることにすぐ気づける(モニターやセンサー)
無理に静かにする必要はありませんが、玄関周りの「在宅サイン」が強すぎるときは注意です。
ポイント4|時間帯と周囲の条件が良い
同じ居留守でも、昼間の方が安全になりやすい理由があります。
- 人通りがあり、相手が長居しにくい
- 近所の目があり、行動が抑制されやすい
- 何かあっても助けを求めやすい
反対に、夜間や人通りが少ない時間帯は、居留守が不安につながりやすいので、より慎重に判断する方が安心です。
ポイント5|用件が「不要な勧誘」と判断できる
相手が営業や勧誘であることが分かっている場合は、居留守は自己防衛として有効な場面もあります。
- はっきりした名乗りや用件がない
- こちらの都合を聞かずに話を進める
- 断っても食い下がる傾向がある
こうした相手に対して、無理に対応する必要はありません。 録画・履歴を残しつつ、必要なら管理会社や家族に共有できる形にしておくとより安心です。
ポイント6|「気配がいつもと違う」がない
危険度を上げるサインは、相手の言葉よりも「様子」に出ることがあります。
- 玄関前で足音が長く続く
- ドア付近で物音がする
- のぞき込むような動きがある
こうした違和感がない場合は、居留守による緊急性は低いことも多いです。 ただし少しでも怖いと感じたら、気のせいと決めつけず、無理をしないのが一番です。
迷ったときのまとめ|安全寄りの判断にするコツ
居留守が危険になりにくい場面には共通点があります。
- 相手が粘らない
- 確認できる(録画・履歴)
- 在宅がバレにくい
- 環境が明るく、人の目がある
- 違和感がない
それでも迷った場合は、ドアを開けずに インターホン越しで用件を確認する、録画で確認してから折り返すなど、「出ないまま確認する」方法を選ぶと安心です。
よくある質問(居留守に関する不安を解消)
居留守については、「これって大丈夫?」「どこまでなら安全?」といった細かな疑問を持つ方がとても多いです。 ここでは、特に不安になりやすいポイントを中心に、やさしく整理してお答えします。
居留守は法律的に問題になりますか?
基本的に、居留守を使うこと自体が法律違反になることはありません。 訪問に応じるかどうかは個人の自由であり、応対しないからといって罰則が発生することはありません。
ただし、次のようなケースでは注意が必要です。
- 裁判所や役所など、公的機関からの正式な通知
- 契約に関わる重要な連絡
- 管理会社・大家からの事前告知がある訪問
これらは放置すると不利益につながる可能性があるため、後から必ず内容を確認するようにしましょう。
インターホンが鳴ったら必ず応答した方がいいですか?
必ずしも応答する必要はありません。
知らない相手や不安を感じる場合は、無理に対応しない選択も立派な自己防衛です。
ただし、居留守を続けることで相手が長居したり、再訪したりする様子が見られる場合は、インターホン越しで用件だけ確認する方が安全なこともあります。
宅配業者だった場合、居留守は失礼になりますか?
宅配業者に対して居留守を使ってしまっても、基本的に失礼にあたることはありません。
不在時の再配達は想定された業務の一部です。
再配達が気になる場合は、
- 宅配ボックスの利用
- 置き配設定
- 再配達日時の指定
などを活用すると、気持ちの負担も減らせます。
子どもだけで留守番しているときはどうすればいいですか?
子どもだけでのインターホン対応は、原則として避けた方が安心です。
- 知らない人には出ない
- インターホンに出ても名乗らない
- 困ったらすぐ大人に連絡する
といったルールを事前に決めておくことが大切です。 居留守を使う判断は、大人が行うようにしましょう。
高齢者が一人のとき、居留守は安全ですか?
高齢者の場合、居留守が必ずしも安全とは限りません。
反応がないことで体調不良や事故と誤解されることもあります。
家族や周囲と
- インターホン対応の方針
- 緊急時の連絡方法
- 定期的な安否確認
を話し合っておくと、居留守による不安を減らすことができます。
居留守を続けると空き巣に狙われやすくなりますか?
一概にそうとは言えませんが、在宅・不在が分かりにくい状態が続くと、様子をうかがわれる可能性はあります。
特に、
- 生活音があるのに反応しない
- 決まった時間帯に反応がない
といった状況が続くと、相手に行動パターンを読まれやすくなります。
怖いと感じたときはどうすればいいですか?
「怖い」と感じた時点で、その判断は十分に尊重されるべきです。
- ドアは開けない
- インターホン越しで無理に対応しない
- 家族や知人に連絡する
- 必要に応じて管理会社や警察相談窓口を利用する
など、自分の身を守る行動を優先してください。
居留守以外にできる安全な対応はありますか?
あります。 居留守だけに頼らず、次のような方法を組み合わせることで安心感が高まります。
- 録画機能付きインターホンで確認する
- 用件が分かるまでドアを開けない
- 不要な訪問は管理会社を通して対応する
「出る・出ない」ではなく、「安全に確認する」という考え方を持つことが大切です。
まとめ|居留守は「危険かどうか」を見極めて使うことが大切
居留守は、すべての場面で危険というわけではありません。 ただし、安全かどうかは「居留守をしたかどうか」ではなく、そのときの状況や環境によって大きく変わります。
この記事でお伝えしてきたように、居留守が危険になりやすいのは、
- 在宅が分かる状態で反応しないとき
- 同じ相手が何度も訪ねてくるとき
- 夜間や人通りが少ない時間帯
- 一人暮らしや高齢者世帯で判断が難しいとき
など、相手や周囲の条件が重なった場合です。
一方で、
- 相手がすぐ立ち去る
- 録画や履歴で確認できる
- 在宅が伝わりにくい環境
- 明るく人の目がある時間帯
といった条件がそろっていれば、居留守は比較的リスクの低い選択になることもあります。
大切なのは、「出るか・出ないか」の二択で考えないことです。 ドアを開けずにインターホン越しで用件を確認する、録画で相手を確認してから対応するなど、安全寄りの選択肢を持っておくことで、不安は大きく減らせます。
少しでも怖い、違和感があると感じたときは、その直感を大切にしてください。 無理をせず、自分や家族の身を守る判断を優先することが、結果的に一番安心につながります。
正しい知識を持って状況を見極めれば、居留守は危険な行為ではなく、安心のための手段として上手に使うことができます。