
毎日の充電時間を少しでも短くしたい時、便利なのが高出力の60W充電器。でも「発熱しやすいのかな?」「壊れやすいって聞いたけど大丈夫?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
実は、60Wという数字そのものが特別に強い電力を押しつけるわけではなく、USB PDの仕組みによって、デバイスが必要とするぶんだけを安全に調整してくれるしくみになっています。仕組みをほんの少し理解するだけで、安心して使えるようになりますよ。
この記事では、60W充電器が壊れやすいと言われる理由や、安全に使うための基礎知識、そして自分に合った選び方までを、初心者の方にもやさしい言葉でまとめました。
基礎知識|60W充電器を理解するためのポイント
60W充電器とは?
60W充電器の「60W」は、その充電器が一度に送り出せる電力の“上限”を表しています。
たとえば、スマホだけなら20W前後でも足りますが、タブレットやノートPCなど「大きなバッテリー」を持つ機器は、より大きなワット数が必要になることもあります。
60Wクラスは、スマホ・タブレット・一部ノートPCまで幅広く対応しやすい「ちょうど中間くらいのパワー」と考えるとイメージしやすいです。
ワット数と充電時間・安全性の関係
ワット数は「電力=電圧×電流」をまとめた指標で、一般的には数値が大きいほど、対応している機器であれば充電時間が短くなります。
ただし、どれだけの電力を受け取るかを決めているのは、充電器ではなく接続されたデバイス側です。
そのため、60W充電器に繋いだからといって、スマホに60Wが無理やり流れるわけではなく、対応範囲の中で必要なぶんだけが使われます。
USB PDの仕組み
USB PD(Power Delivery)は、USB-Cケーブルを使って機器どうしが「何ワットで充電するか」を交渉してから充電を始める規格です。
最初に充電器とデバイスがやり取りを行い、「この機器なら最大○Wまで大丈夫」と確認してから電力を送るため、過剰な電力がいきなり流れる心配が少ないのが特徴です。
この仕組みのおかげで、同じ60W充電器でも、スマホ・タブレット・ノートPCなど、違う機器を安全に充電しやすくなっています。
GaN技術のメリット
GaN(窒化ガリウム)は、従来のシリコンに代わる半導体素材で、高い電圧や電流を効率よく扱えるのが強みです。
同じ60WでもGaNを使った充電器は、小さく・軽く・発熱を抑えやすい傾向があり、持ち歩き用にも向いています。
「小さいのにパワフル」「カバンの中でかさばらない」といったメリットを重視する方は、GaN搭載モデルかどうかを目安にして選ぶのもおすすめです。
どんな機器に使える?確認しておきたいポイント
60W充電器は、スマホやタブレットはもちろん、一部のノートPCやゲーム機などにも使われることがあります。
ただし、デバイスごとに「推奨W数」や「対応している充電規格」が決まっている場合があるため、説明書やメーカーサイトで一度確認しておくと安心です。
「スマホもPCも一つの充電器でまとめたい」「旅行や出張に持って行く充電器を一台にしたい」という方には、60Wクラスは使い勝手のいい選択肢になります。
ワット数で何が違う?20W/30W/45W/60W/100Wの比較
ワット数が変わるとどう違う?
ワット数は「送れる電力の大きさ」の目安で、数値が大きいほど“対応している機器なら充電を速くできる”可能性が高まります。ただし、実際にどれだけ電力を受け取るかはデバイス側が決めているため、必要以上の電力が流れることはありません。
20〜30W:スマホ中心の人向け
一般的なスマートフォンは20〜30Wで十分に急速充電が可能です。持ち歩き用や自宅のサブ用としても扱いやすく、小型の充電器に多い出力帯です。
30〜45W:タブレット利用が多い人向け
タブレットはバッテリー容量が大きく、30〜45Wの充電器を使うと充電時間をグッと短縮できます。外出先でも安心して使える「実用的な出力」です。
45〜60W:ノートPCにも対応可能
軽量ノートPCやUSB-C対応のモデルでは45〜60Wの範囲が使われることが多く、スマホ・タブレットとの兼用にも向いています。1台で複数デバイスをまかなえる“ちょうど良いクラス”です。
100W以上:複数台同時充電に強い
ノートPCの充電をしながらスマホ・タブレットも同時に使いたい人に便利です。多ポートのモデルが多く、家庭やワークスペースで“まとめて充電したい”場合に活躍します。
高ワット数でも安心な理由
“ワット数が高い=危険”ではありません。USB PDの仕組みにより、デバイスは必要な分だけ電力を受け取ります。余裕のある出力を選ぶことで、発熱が抑えられる場合もあります。
60W充電器は本当に壊れやすい?原因と誤解
壊れると感じる理由の多くは「使い方」と「環境」
60W充電器は高出力のため不安に感じられがちですが、実際に壊れる原因の多くは本体そのものの問題ではなく、周囲の環境やケーブル側のトラブルであることが多いです。
発熱や接触不良など、日常で起こりやすいポイントを知っておくと安心です。
発熱しやすい環境に置いている
布団の上、ソファ、狭い棚の隅など通気性の悪い場所では、熱がこもりやすくなります。
充電器は熱を逃がしながら動くため、空気が流れにくい環境では温度が上がりやすく、誤作動や寿命低下につながることがあります。
規格外ケーブルによる不具合
見た目は同じUSB-Cでも、内部の規格や品質は大きく異なります。出力に対応できていないケーブルは、発熱しやすかったり充電が途切れたりする原因に。
USB-C認証品や、充電器と同等のワット数に対応したケーブルを使うことが大切です。
複数ポート同時使用で起こる“出力不足”
複数ポートの充電器の場合、同時に使用するとワット数が分散され、思ったより充電が遅くなることがあります。これを「壊れた」と誤解してしまうケースも多いです。
ポートごとの出力や合計ワット数を理解しておくとトラブルが減ります。
ワット数が高い=壊れやすいという誤解
“60Wは強すぎる”という誤解もありますが、USB PDではデバイスが必要な電力しか受け取りません。
60Wを常に出し続けるわけではないため、高ワット数だから壊れやすいということはありません。
壊さないための正しい使い方
通気性の良い場所で使う
充電器は使用中にどうしても熱を持ちます。机の上や床の上など、風通しの良い場所に置くことで余分な熱を逃がしやすくなります。
布団やクッションの上、狭い棚の奥などは熱がこもりやすく、寿命を縮める原因になります。
周囲にモノを詰め込みすぎない
コンセント周りに延長コードやアダプターが重なっていると、放熱しにくくなります。
周囲に少し余裕をもたせておくことで、発熱によるトラブルを避けられます。
高出力の機器を充電するときは特にケーブル品質に注意
ノートPCなど60W以上の電力が必要な機器を充電する場合、ケーブルの品質がとても重要です。
対応W数以下のケーブルや規格違いのケーブルを使うと、発熱したり途中で充電が止まることがあります。
こまめなケーブル点検を習慣にする
ケーブルは充電器本体より先に劣化することが多いパーツです。
曲げ癖、断線、差し込み口のぐらつきなどがないか、ときどきチェックするとトラブルを未然に防げます。
使わないときはコンセントから抜く
頻繁に使わない場合は、コンセントから抜いておくことで無駄な発熱を避けられます。特に長期間使わない時は抜いておくと安心です。
コンセントの差し込みがゆるくないか確認
しっかり挿さっていない状態で使うと、接触不良から熱が発生する場合があります。
差し込みが甘いと感じたら別のコンセントを使うなど、安全な状態で使用しましょう。
充電しながら負荷の高い作業をしすぎない
ノートPCで動画編集やゲームなど高負荷の作業を行うと、機器本体の発熱も加わり、充電器側の発熱も増えます。
休ませながら使うことで温度の上昇を抑えられます。
こまめな掃除でホコリを防ぐ
ホコリが溜まると放熱が妨げられます。とくに、コンセント周りや机の上で使っている場合は、時々軽く掃除しておくと安心です。
ワット数と温度の関係
高ワット数=熱くなるではない理由
ワット数が大きいと「たくさん電力を扱うから熱くなりやすい」と思われがちですが、実際は少し違います。
USB PDではデバイスが必要な電力だけを受け取るため、たとえ60Wや100Wの充電器でも“必要なぶんだけ”しか使われません。そのため、高ワット数だからといって常に熱くなるわけではありません。
実際に温度が上がるのはどんな時?
温度上昇は、主に次のような状況で起こりやすくなります。
- 急速充電中(バッテリー残量が少ない時):高めの電力が必要になるため負荷が上がります。
- ノートPCなど大容量デバイスの充電時:一時的にW数が大きく動くことで発熱が増えます。
- 高温の室内・直射日光の下:本体がもともと熱を持ちやすい環境だと温度が上がりやすいです。
正常な発熱と異常な発熱の違い
USB PD充電器は、多少温かくなるのが正常です。とくに急速充電中は、内部で電力を変換する際に熱が発生します。ただし以下のような場合は注意が必要です。
- 手で触れられないほど熱い
- 焦げたようなにおいがする
- 充電中に頻繁に電源が切れる
- 本体が変形しているように感じる
このような症状がある場合は使用を中止し、別のケーブル・コンセントでも試し、改善しない場合は買い替えを検討しましょう。
放熱しやすい構造の充電器ほど温度が安定する
GaN(窒化ガリウム)を使用した充電器は、エネルギー効率が良いため内部の無駄な発熱が少ない傾向があります。
また、放熱用のスリットや材質の工夫により、同じ60Wでも温度上昇が抑えられるモデルもあります。
高ワット数のほうが“余裕がある”ため熱くなりにくい場合も
低ワット数の充電器でギリギリの容量のデバイスを充電すると、常にフルパワーに近い状態で動作するため発熱が増えることがあります。
一方、60W充電器で30Wしか必要としない機器を充電する場合、充電器側には“余裕”があり、結果として発熱が少なく安定するケースもあります。
ネットで見かける誤解を整理
急速充電はスマホに悪い?
「急速充電=バッテリーが傷む」と言われることがありますが、USB PDはデバイス側が受け取る電力量を調整する仕組みのため、必要以上の負荷がかかることはありません。
現代のスマホは充電制御が非常に賢く、温度管理や電流制御を自動で行いながら充電しているため、通常の範囲で急速充電を使うぶんには過度な心配は不要です。
小型充電器は発熱しやすい?
確かに小型モデルは内部スペースが少ないため発熱しやすいイメージがありますが、GaN(窒化ガリウム)技術の普及により、省スペースでも効率よく電力変換できるようになっています。
むしろ、設計がしっかりしたGaNモデルは従来の大型充電器より発熱が少ないケースもあります。
60W=特定デバイス専用という誤解
「60WはPC専用」「スマホには強すぎる」といった誤解も多く見られます。しかし実際は、充電器のワット数が高いほど“幅広い機器に対応できる余裕”が生まれます。
スマホは20W程度しか受け取らず、ノートPCは45〜60W前後を使うことが多いなど、USB PDのおかげで機器ごとに必要な電力だけが使われます。
充電しながら使うと寿命が縮む?
スマホやタブレットを充電しながら使うとバッテリーに悪いと言われることがありますが、通常利用の範囲であれば過度に心配する必要はありません。
ただし、ゲームや動画編集など“本体が高負荷になる行為”を同時に行うと温度が上がりやすく、バッテリーに負担がかかる場合があります。
高負荷作業を続ける時は、可能なら充電を外すほうが安心です。
発熱=故障のサインではない
充電器は動作中に熱を持つのが普通です。とくに急速充電中は多少の発熱が起こります。
しかし、異常な発熱(触れられない、変形、におい)は別問題で、使用を中止すべきサインです。正常な発熱と危険な発熱を区別できれば、不必要な不安を抱かずに済みます。
価格が安い=危険というわけではない
「安価な充電器は危ない」という声もありますが、価格よりも重要なのは安全規格(PSE)、USB PD対応、ケーブル品質などです。
信頼性のあるメーカーや必要な安全基準を満たしている製品であれば、必ずしも高価である必要はありません。
初心者でも失敗しない選び方
安全性チェックのいちばん大事なポイント
初心者の方がまず確認したいのは「安全に使えるかどうか」です。
どれが良いかわからない時は、次のポイントから順番に見ていくと失敗しにくくなります。
- PSEマークがあるか
- USB PD対応と明記されているか
- 最大出力(W数)が自分の用途に合っているか
- 正規メーカー品・信頼できる販売元かどうか
この4つを押さえておくだけでも、選び方の質がぐっと上がります。
PSEマークを必ず確認する
日本国内で使う電気製品には、原則としてPSEマークが必要です。
充電器本体やパッケージに小さなマークがついているかを確認しましょう。これがあることで、一定の安全基準を満たしている目安になります。
USB PD対応かどうかを見る
「急速充電対応」とだけ書かれているものより、「USB PD対応」と明記されているもののほうが、スマホやタブレット、ノートPCなどと相性が良いことが多いです。
対応機器を増やしたい場合は、USB PDに対応しているかをひとつの基準にすると選びやすくなります。
最大出力とポートごとの出力を確認する
「合計60W」と書かれていても、複数ポートを同時に使うと1ポートあたりの出力が下がることがあります。
- 1ポート使用時:最大60W
- 2ポート使用時:各30Wずつ など
といった表記があるかをチェックし、実際に自分がどのように使いたいかをイメージしながら選ぶと失敗が減ります。
GaN搭載モデルを選ぶメリット
GaN搭載モデルは、小型で持ち運びやすく、効率よく電力を変換できるため、発熱を抑えやすいというメリットがあります。
- 持ち運び用
- 自宅と職場の両方で使いたい
- 旅行や出張が多い
といった方には、GaNモデルを候補に入れてみると満足度が高くなります。
目的別に選び方を変える
なんとなく選ぶのではなく、「どんな使い方をしたいか」を先に決めておくと、必要なW数やポート数が見えやすくなります。
- スマホ中心:20〜30W/1〜2ポート
- タブレットもよく使う:30〜45W/2ポート以上
- ノートPCも充電したい:45〜60W以上/USB-Cポート必須
- 家族で共有したい:60〜100W/3ポート以上
このように、自分のライフスタイルに合わせて条件を絞ると、「ちょうどいい1台」を見つけやすくなります。
ケーブルの有無もチェックしておく
本体だけのモデルもあれば、USB-Cケーブルがセットになっているものもあります。
初心者の方は、最初からケーブル付きのモデルを選ぶと、対応W数や規格で迷いにくくなります。
迷ったときは“少し余裕のあるW数”を選ぶ
どのW数にするか迷ったときは、少し余裕のあるワット数のモデルを選んでおくと安心です。
あとからタブレットやノートPCを買い足しても、買い替えずにそのまま使える可能性が高くなります。
最新の60W充電器トレンド
小型・軽量化がますます進んでいる
最近の60W充電器は、以前に比べてひとまわり以上小さく、軽くなってきています。
カバンやポーチのポケットにも収まりやすく、「ノートPC用アダプター=大きくて重い」というイメージが変わりつつあります。
自宅だけでなく、カフェやコワーキングスペースなど外出先で使いやすいデザインが増えています。
GaN搭載モデルが主流になりつつある
少し前までは上位モデルに限られていたGaN搭載充電器も、今では60Wクラスでは一般的になってきました。GaNのおかげで、
- 高出力でも本体がコンパクト
- 効率よく電力を変換できる
- 発熱を抑えやすい
といったメリットが得られるため、「小さくてもしっかり使える充電器」を探している人に選ばれています。
多ポートモデルのバリエーションが増加
60Wクラスの充電器には、USB-Cポートだけでなく、USB-Aポートも組み合わせた多ポートモデルが増えています。
- スマホ+タブレット
- スマホ+ノートPC
- 自分のスマホ+家族のスマホ
といったように、1台で複数の機器を同時に充電できるため、コンセント周りをすっきりさせたい人や、旅行・出張で荷物を減らしたい人に人気です。
USB PD 3.1など新しい規格への対応が進んでいる
より高い電力を扱えるUSB PD 3.1に対応したモデルも増えてきました。
60Wクラスではまだ「将来の拡張性」という意味合いもありますが、今後はノートPCやタブレット側の対応が進むことで、さらに使い勝手が良くなることが期待されています。
デザイン性やカラー展開も豊富に
以前は「白か黒のシンプルな箱」が中心でしたが、最近はインテリアになじむ落ち着いたカラーや、丸みのあるデザインなど、見た目にこだわったモデルも増えています。
デスク周りをおしゃれに整えたい方にとっても、選ぶ楽しさが広がっています。
まとめて買い替える人も増えている
スマホ・タブレット・ノートPCと、USB-C充電対応の機器が増えたことで、「別々のアダプターを使うより、60Wクラスの充電器1台でまとめたい」というニーズが高まっています。結果的に、
- コンセントの差し替えが減る
- 旅行や出張の荷物が減る
- デスク周りがすっきりする
といったメリットがあり、60W充電器は“まとめ役”として選ばれることが多くなっています。
用途に合うワット数の目安
自分の使い方から「必要なワット数」を考える
ワット数を決めるときに大切なのは、「どの機器を、どんな場面で充電したいか」をはっきりさせることです。なんとなく数字だけを追うより、ライフスタイルから逆算したほうが失敗しにくくなります。
- 家ではほとんどスマホだけ
- タブレットもよく使う
- ノートPCを持ち歩くことが多い
- 家族やパートナーと共有したい
など、自分のパターンをイメージしながら目安を決めていきましょう。
スマホ中心なら20〜30Wがちょうどいい
日常的に使うスマホを快適に充電したいだけなら、20〜30Wあれば十分なケースがほとんどです。
寝る前に充電するだけ、というスタイルなら、急速充電にこだわりすぎる必要もありません。小型で軽いモデルが多いので、外出用にも向いています。
タブレットも使うなら30〜45Wが安心
動画視聴や電子書籍、レシピ閲覧などにタブレットを使うことが多い方は、30〜45Wクラスが便利です。
スマホよりもバッテリー容量が大きいため、少し余裕のあるワット数を選ぶことで、充電待ちの時間を短くできます。
ノートPCも充電したいなら45〜60W以上
ノートPCをUSB-Cで充電する場合、多くのモデルは45〜60W前後を想定しています。
60Wクラスなら、軽めの作業(ブラウジングや文章作成など)をしながらでも、じゅうぶん実用的なスピードで充電できることが多いです。スマホ・タブレットとの兼用にもぴったりのクラスです。
家族や複数デバイスで共有するなら60〜100W
家族でスマホを2〜3台同時に充電したい、タブレットやワイヤレスイヤホンなどもまとめて充電したい、という場合は、60〜100Wクラスがおすすめです。
多ポートのモデルを選べば、コンセント周りがすっきりし、旅行や帰省の際にも「充電器はこれ1つ」で済ませやすくなります。
将来の買い替え・買い足しも考えて“少し上のクラス”を
今の持ち物だけで考えると20〜30Wで足りる場合でも、
- 今後タブレットを買うかもしれない
- ノートPCのUSB-C充電に興味がある
といった場合は、あらかじめ余裕を見て45〜60Wクラスを選んでおくと、後から買い替える必要が減ります。
特に「充電器はあまり何度も買いたくない」という方ほど、少し上のワット数を選ぶメリットがあります。
迷ったときの目安
ざっくりとした目安としては、
- スマホだけ→30W前後
- スマホ+タブレット→45W前後
- スマホ+ノートPC→60W前後
- 家族で共有・複数デバイス→60〜100W
という基準で考えると、自分に合ったクラスが見つけやすくなります。
トラブル時のチェックポイント
充電が遅い・進まないときに確認したいポイント
充電が思うように進まない場合は、まず次の点を順番にチェックしてみましょう。
- ケーブルの劣化や断線:外見が無事でも内部が損傷していることがあります。
- ポートの汚れ:ほこりやゴミが詰まると電力が安定しません。
- 別ポートに挿し替え:複数ポートのうち、出力が高い/低いポートに違いがある場合があります。
- 充電器の温度:本体が熱くなりすぎると、安全のために一時的に出力が下がることがあります。
これらを試すだけで、問題が解決するケースは意外と多いです。
急に発熱が増えたと感じたときの対処法
発熱がいつもより強く感じられると不安になりますよね。そんな時は次のポイントを確認してみてください。
- 使用環境の温度が高くないか(夏場・直射日光下など)
- 通気の悪い場所で使っていないか(布の上・狭い隙間など)
- ノートPCなど大きな電力が必要な機器を充電していないか
- 長時間連続で急速充電していないか
発熱は「異常」ではなく「仕様上の動作」の場合も多いため、環境を改善するだけで温度が落ち着くこともあります。
接触不良のときに試したいこと
接触が悪く感じるときは、次のような原因が考えられます。
- コンセントの差し込みが浅い
- 延長コード側の劣化
- ケーブルの根元が弱っている
- 充電ポートにほこりが溜まっている
いったんすべての接続を抜き、違うコンセント・違うケーブルでも試してみると原因を切り分けやすくなります。
複数台同時充電で遅くなるのは“故障ではない”ことも
多ポート充電器では、同時に充電すると出力が分散される仕様になっています。そのため、単体で使うときと比べてスピードが落ちることがあります。
これは故障ではなく設計上の動作なので、ポートごとの最大出力を理解しておくことが大切です。
充電器から異音がしたりにおいがする場合
「ジジジ…」「キーン」といった異音や、焦げたようなにおいがある場合は注意が必要です。
- すぐに使用を中止する
- 別のコンセントやケーブルで再確認する
- 改善しなければ買い替えを検討する
においや変形は、内部部品が劣化している可能性があるため、無理に使い続けるのは避けましょう。
自分でできる最終チェック
どうしても原因がわからないときは、次の3つを試してみると切り分けしやすくなります。
- 別のケーブルで試す
- 別のデバイスで試す
- 別のコンセント(可能なら別の部屋)で試す
これで症状が改善すれば、故障しているのは充電器以外の可能性があります。
よくある質問
Q. スマホに60Wは強すぎませんか?
A. 問題ありません。
USB PDではスマホ側が必要な電力(多くは20W前後)だけを受け取るため、60Wが無理に流れることはありません。高ワット数は“余裕がある”と考えると安心です。
Q. 発熱していると危険ですか?
A. 急速充電中や大容量バッテリーの充電中に温かくなるのは正常です。
触れられないほど高温、におい、変形などがある場合のみ使用を中止してください。
Q. ケーブルはなんでもいいですか?
A. いいえ。ケーブルによって対応ワット数が異なり、規格が合わないと充電が遅くなったり途中で止まったりします。できればUSB-C認証品、最低でも60W対応のケーブルを選びましょう。
Q. 充電しながらスマホを使っても大丈夫?
A. 通常利用なら問題ありません。
ただしゲームや高負荷作業などは本体温度が上がりやすいため、長時間続ける場合は充電を外すほうが安心です。
Q. ノートPCにも使えますか?
A. 多くの軽量ノートPCは45〜60Wで充電できます。
ただしパソコンの推奨W数が高い場合(例:65W以上)は最大速度が出ないことがあるため、機種の仕様を確認しましょう。
Q. 同時に複数台充電すると遅くなるのは故障?
A. 故障ではありません。
多ポート充電器は出力を分配する仕組みのため、2台以上同時充電では1ポートあたりのW数が下がることがあります。
Q. 旅行や出張に60W充電器1台で足りますか?
A. スマホ・タブレット・軽量ノートPC程度なら十分まかなえます。
同時に複数機器を充電する場合は、多ポートタイプの60〜100Wクラスが便利です。
Q. 充電器はどれくらいで買い替えるべき?
A. 明確な寿命はありませんが、次の症状がある場合は買い替えを検討しましょう。
- 発熱が異常に強い
- 異音やにおいがする
- 充電が頻繁に止まる
- ケーブル接続が不安定
Q. 安い充電器は危険ですか?
A. 価格よりも重要なのはPSEマーク、USB PD対応、ケーブル品質、メーカーの信頼性です。これらを満たしていれば必ずしも高価である必要はありません。
まとめと結論|60W充電器を安心して選ぶために
60W充電器は“強すぎる”わけではなく、むしろ余裕があって安全に使える
USB PDの仕組みにより、デバイス側が必要な電力だけを受け取るため、60Wだからといってスマホに過剰な負荷がかかることはありません。
むしろ余裕のある出力は発熱を抑えやすく、複数のデバイスに対応できる柔軟さも魅力です。
壊れる原因の多くは「環境」と「ケーブル」
充電器本体が壊れやすいというより、ケーブルの劣化や通気の悪い場所での使用など“周囲の環境”がトラブルのきっかけになることが多くあります。
正しいケーブル選びと配置を意識するだけで、トラブルは大きく減ります。
自分の用途に合わせたワット数選びが大切
- スマホ中心 → 20〜30W
- スマホ+タブレット → 30〜45W
- スマホ+ノートPC → 45〜60W
- 家族で共有 → 60〜100W
このように、ライフスタイルに合わせて必要なクラスを選ぶとストレスなく使えるようになります。
迷ったときは“少し余裕のあるワット数”を選ぶのが安心です。
GaN搭載モデルや多ポートタイプが今の主流
小型で発熱を抑えやすいGaNモデルや、USB-C/USB-Aを複数備えた多ポートタイプが人気です。
持ち運びやすさ、デスク周りのすっきり感、旅行での利便性も高まり、60W充電器の価値がさらに広がっています。
最後に|60W充電器は“1台でまとめたい人”に最適な選択肢
スマホ・タブレット・ノートPCまで幅広く対応しやすく、買い替えても長く使いやすいのが60W充電器の魅力です。
正しい使い方や選び方を押さえておけば、日常の充電が驚くほど快適になります。
“安心して使える1台”を選んで、ストレスの少ない充電環境を整えていきましょう。