「終活まではちょっと早いけど、自分のこれからを見つめ直したい」
そんな60代以降の方に人気なのが、“人生ノート”という習慣です。
エンディングノートよりも前向きで、自分の考えや夢、思い出を書き留めるノートとして注目を集めています。
この記事では、人生ノートとは何か?どう始めるのか?書きやすく続けるコツまで、やさしく解説します。
人生ノートとは?|エンディングノートとの違いを解説
人生ノートとは、「これからの人生をよりよく生きるための記録帳」
人生ノートとは、
今までの人生を振り返りながら、これからの人生を前向きに過ごすための自分だけのノートです。
主な目的は
- 自分を見つめ直す
- これからの生き方を考える
- 感情や経験を言葉にして整理する
- 家族とのコミュニケーションのきっかけになる

形式も内容も自由。日記・エッセイ・ToDoリスト・家族への手紙…何を書いてもOKです。
エンディングノートとは、「人生の終わりに備えるための実用的な記録帳」
一方でエンディングノートは、
自身が亡くなった後に備えて、家族に伝えたい情報や希望をまとめておくノートです。
書く内容には次のような実用情報が多く含まれます:
- 医療・延命治療に関する希望
- 介護の希望・施設の希望
- 財産や口座、保険などの情報
- 葬儀やお墓に関する要望
- 大切な人へのメッセージ



残された家族が「何をどうすればいいのか困らないように」するための準備ツールです。
2つのノートを比較すると?
比較項目 | 人生ノート | エンディングノート |
---|---|---|
主な目的 | これからを豊かに生きるための記録 | 死後に備えての実務的記録 |
内容の傾向 | 思い出・価値観・目標・感謝・夢など | 医療・介護・相続・葬儀など具体的な情報 |
書くタイミング | いつでも(生きている今) | 60代後半〜、体調に変化が出始めた頃に多い |
書く人の気持ち | 前向き・創造的・自由度が高い | 少し重たい・責任感や義務感から書くことも |
難しさ | 気軽に始められる | 法的・事務的な内容もありやや複雑 |
家族への影響 | 心のつながりを深める | 実務的な負担を軽減できる |
補足:両方あってもOK!役割が違うからこそ共存できる
- 人生ノートは「生きるため」のノート
- エンディングノートは「備えるため」のノート
人生ノートで自分の価値観や思いを整理したあとに、それをもとにしてエンディングノートを作成すると、“想いの伝わる終活”につながるというケースも増えています。



まずは人生ノートから始めて、「書く習慣」をつけることが、将来の備えにもなります。
まとめ|人生ノートは「いまを大切に生きる人」のためのノート
エンディングノートが「備えのノート」なら、
人生ノートは「希望のノート」。
- 今までのことを振り返って
- これからのことを考えながら
- 気持ちを言葉にして、未来を見つめる
そんな丁寧な時間こそが、人生をより豊かにしてくれます。



エンディングノートよりも先に、まずは“自分らしさ”が詰まった人生ノートを始めてみませんか?
60代から始める人生ノートのメリット
1. 自分の「人生の棚卸し」ができる
60代は、定年退職・子育て卒業・介護など、大きな転機を迎える時期。
人生ノートを書くことで、自分が
- 何を乗り越えてきたのか
- どんな価値観で生きてきたのか
を客観的に振り返ることができます。



過去の経験に「意味」や「誇り」を見出すことができ、自己肯定感が高まるのが大きなメリットです。
2. 「これからの人生」がより明確に見えてくる
60代からの人生は、“セカンドライフ”の本番。
人生ノートを使って、
- これからやりたいこと
- 行きたい場所
- 会いたい人
- 挑戦したい趣味
などを言語化することで、日々に張り合いが生まれます。



ゴールのない人生ではなく、「小さな目標を持つ人生」へ変化します。
3. 感情の整理ができて、気持ちがラクになる
悩み・不安・怒り・寂しさなど、年齢とともに湧いてくる感情を誰かに話す代わりに書くことで、
- ストレスの発散
- 自分の気持ちを見つめるきっかけ
- 不安を“外に出す”安心感
が得られます。



ノートに書くだけでも「心のデトックス効果」があると感じる人も多数。
4. 家族・子ども・孫との関係が深まる
ノートに記された思い出やメッセージは、家族にとって何よりの宝物になります。
- 「親が何を考えていたか」
- 「どんな人生を歩んできたのか」
- 「本当は伝えたかった想い」
こうした内容は、言葉にしにくいことも多いですが、ノートに残すことで世代を超えたつながりや理解が生まれます。



お互いの気持ちを知るきっかけになり、「ありがとう」が増えるきっかけにも。
5. 頭と心の健康維持につながる
人生ノートは、書く・思い出す・整理するという行動を通じて、
- 脳の活性化(認知症予防)
- 表現力や感情コントロール力の維持
- 日々の生活への意欲向上
といった健康面のメリットも期待できます。



「毎日少しずつ書く」が習慣化すれば、心も体も整う“生活のリズム”になります。
6. 万が一に備えた準備にもなる
本来は前向きなノートですが、
結果として「もしものとき」にも役立つことがあります。
- 持病やかかりつけ医のメモ
- 大切にしている物・人
- 家族への感謝の言葉
- 自分の意思を軽く残すような一文
などがあることで、残された家族が安心できるという側面も。



人生ノートが「エンディングノートの前段階」として自然な備えになることもあります。
まとめ|人生ノートは、60代からの「生きる力」を育てるノート
人生ノートは、書けば書くほど「自分らしさ」や「これまでの積み重ね」が見えてきて、
それがそのまま「これからの希望」へとつながります。



書くことで、思い出を再発見し、未来を想像し、心が整う。
それこそが、人生ノートの最大の魅力です。
人生ノートの始め方|3つのステップ
ステップ①:ノートや手帳を1冊用意する|“自分だけの1冊”に出会おう
▼ 用意するものの例
- A5サイズの無地ノート(自由に書きやすい)
- 日記帳タイプ(1日1ページ式も◎)
- ルーズリーフ(順番を入れ替えられる)
- スマホ・タブレット(デジタル派にはアプリもOK)



重要なのは「自分が書きやすい」「続けられそう」と感じるかどうか。
書き始める前にするとよいこと
- 表紙に自分の好きな言葉を書く
- 写真やステッカーでデコレーションしても◎
- 書き出す前に「なぜ始めたいのか」を1行書いてみると意識が明確に!
ステップ②:書きたいテーマ・ジャンルをざっくり決める
「何から書けばいいかわからない…」と感じる方は多いですが、最初は“自由なメモ感覚”でOKです。
▼ 初心者向け・書きやすいテーマ例:
テーマ | 書き出し例 |
---|---|
今までで一番楽しかったこと | 子どもと行った旅行で… |
小さい頃の思い出 | 小学生の頃、祖母の家で… |
家族への思い | 最近あまり話せていないけど… |
これからやってみたいこと | 60代のうちに挑戦したいことは… |
好きなもの・こと | 好きな季節、食べ物、音楽について |
健康のこと | 最近感じている体の変化や気づき |



テーマは“自由”でOK!
思い出せる範囲・書ける分量で止めていいのが人生ノートの魅力です。
ステップ③:書き方のルールは「ゆるく」するのが長続きのコツ
人生ノートは“自分のため”に書くもの。
だからこそ、「毎日書こう」「1ページ埋めよう」などのルールはあえて作らなくても大丈夫です。
▼ 続けやすくなる書き方の工夫
- 日付を書くだけでも価値がある(後で読み返したときの手がかりに)
- 箇条書きだけの日があってもOK(思考の整理にも)
- 写真やチケットを貼るだけでもOK(無理なく続く)
- 「今日は書かない」も立派な選択(継続の最大のコツは“無理しない”)
▼ 気分が乗らないときは…?
- 「最近うれしかったこと」
- 「ありがとうと思ったこと」
- 「今の自分にかけたい言葉」
といったポジティブなお題から書くと、気持ちが前向きになります。
小さく始める人生ノートが“未来の自分”へのギフトになる
最初は何を書いてもいい、ルールがなくていい。
でも気がつくと、「自分の人生のかけがえのない軌跡」が残っている。
それが、人生ノート最大の魅力です。



たった1ページの思い出が、数年後の自分を励ましてくれることもあります。
書きやすくなるコツとアイデア|“気楽に続ける”が何より大切
人生ノートは「自由に書いていい」と言われると、逆に何を書けばいいかわからなくなることも。
そんなときに役立つ、書き始めのヒント・工夫・発想の切り口を紹介します。
1. 書き出しは「問い」から始めてみる
問いかけは、自然に考えが浮かびやすく、書きやすくなります。
▼ おすすめの書き出しフレーズ
- 「10年前の私に伝えたいことは?」
- 「今、誰に感謝したい?」
- 「あの時選ばなかった道を選んでいたら?」
- 「人生で一番笑った日はいつ?」
- 「これから挑戦してみたいことは?」



質問形式は、日替わりテーマにもなりやすく、書くきっかけとして非常に有効です。
2. 「短くてもいい」と自分に許可を出す
人生ノート=たくさん書くもの、という思い込みは捨てましょう。
▼ 書くのが負担にならない工夫
- 「今日の気分:◯◯だけ」でもOK
- 箇条書き・単語だけでもOK
- 落書き・イラスト・記号もOK
- 3行ルール(1日3行だけ)にするのもおすすめ



書く内容より「書き続ける」ことのほうが大切です。
3. 書きたいことがない日は「貼る」だけでもOK
言葉が出ない日は、視覚的に記録するのもアリです。
▼ こんなアイテムを使ってみよう
- 旅行先のチケットやパンフレット
- 昔の写真、家族写真
- 好きな本や映画の表紙をコピー
- カフェのレシートやお菓子の包み紙



「今日は1枚の写真だけの日」でも、記録としてしっかり残ります。
4. 見出し・タイトルをつけて整理しやすくする
ページにテーマやタイトルをつけておくと、読み返しやすく、思考の整理にも役立ちます。
▼ 見出しの例
- 「60代になって変わったこと」
- 「ありがとうノート」
- 「人生の忘れたくない場面」
- 「202X年の目標と振り返り」



タイトルがあると“ブログ記事感覚”で、楽しく書けるという声も多いです。
5. 自分だけの「書く時間」「場所」をつくる
- 朝食後の10分間/寝る前の5分間
- お気に入りのカフェやリビングの一角
- 書く前にお茶を淹れてリラックスタイムにする



習慣化のポイントは「決まった時間&場所で続けること」。気持ちも整います。
6. 書きながら“発見”することを楽しむ
人生ノートは、「記録する」だけではなく、自分を知るプロセスでもあります。
- 「あ、自分ってこんなこと考えてたんだ」
- 「あの出来事って、今こう思えるんだ」
- 「忘れてたけど、あれは大切な思い出だったな」



書くことで、自分の中にある“答え”に出会えるのが、人生ノートの面白さです。
まとめ|“書ける方法”を見つけるのが最大のコツ
書けない日があってもOK。
言葉じゃなくてもOK。
「完璧を目指さず、書ける日だけ、書ける方法で書く」
これが、人生ノートを長く続ける最大のコツです。



ノートはあなたの味方。“続ける”より“楽しむ”ことを優先してみてください。
人生ノートにおすすめの内容10選
①自分史(生まれてからの人生年表)
書く目的
自分の歩んできた道を“見える化”して、人生を振り返る。
🔸 書き方のヒント
- 生まれた年から10年ごとに区切って「何があったか」を書く
- 学校・仕事・転機・結婚・引っ越し・出会いなど
- 覚えている出来事やエピソードも箇条書きでOK



後で読み返すと「よくがんばってきたな」と実感できます。
② 好きなもの・ことベスト10
書く目的
自分をワクワクさせる“好き”を言葉にして、気持ちを前向きに。
🔸 書き方のヒント
- 食べ物・音楽・場所・趣味・香り・色・人・本など
- ランキング形式でも、「理由つきメモ」でもOK
- 「今も好きなもの」「昔は好きだったもの」で分けても楽しい



好きなものリストは、落ち込んだ時の“元気のもと”になります。
③ 健康のこと・体の変化メモ
書く目的
年齢とともに変化する体と上手につき合っていく準備。
🔸 書き方のヒント
- 日常で気になる不調や変化(膝・視力・睡眠など)
- 健康診断の記録/飲んでいる薬
- 自分なりの健康法や試して良かった習慣



将来的に病院や家族へ伝える際の「参考記録」にもなります。
④ 旅の思い出・行ってみたい場所
書く目的
記憶に残る風景や体験を言葉にして、人生の彩りを再確認する。
🔸 書き方のヒント
- 写真を貼る・地名だけでもOK
- 行った場所の印象、感じたこと、誰と行ったか
- 今後行ってみたい場所も「旅の夢」として記録すると◎



“行きたい場所リスト”は、新しい目標になります。
⑤ 家族や友人とのエピソード
書く目的
大切な人とのつながりを思い出し、感謝や愛情を言葉にする。
書き方のヒント
「こんな言葉をもらって嬉しかった」「助けられた思い出」
特別な日の出来事(誕生日・結婚・卒業など)
何気ない日常のやりとり



書くことで、忘れかけていた気持ちや関係の温かさを再確認できます。
⑥ 感謝していること
書く目的
感謝に気づくことで、心のバランスが整い、穏やかな気持ちに。
書き方のヒント
- 「ありがとう」を伝えたい人の名前を書くだけでもOK
- 今日の小さな感謝(天気・食事・会話など)を記録
- 過去に支えてくれた人、物事への感謝も思い出して



書けば書くほど「心があたたかくなる」のがこのテーマの魅力。
⑦ 将来やりたいこと・夢リスト
書く目的
これからの人生を「自分の意志で生きる」ための目標づくり。
書き方のヒント
- 「死ぬまでにしたいことリスト」「夢100個」など自由に
- 大きな夢だけでなく、「毎月1冊本を読む」など小さなことでも◎
- やってみたい趣味・習い事・人との再会なども含めて



書くことで、“未来に向かうエネルギー”が湧いてきます。
⑧ 読んだ本・観た映画の記録
書く目的
心に残った言葉やシーンを記録して、自分の内面の変化を楽しむ。
書き方のヒント
- タイトル・感想・印象に残ったセリフやシーン
- 読み終えた時の自分の気持ちや状況
- もう一度読み返したい理由など



後で読み返すと「その時の自分の価値観」も一緒に思い出せます。
⑨ 今の悩みや考えていること
書く目的
モヤモヤや不安を“書き出して外に出す”ことで、心を軽くする。
書き方のヒント
- 誰にも言えないことをノートに打ち明ける気持ちで
- 「こんなことに悩んでいる」と正直に書く
- 解決策は書かなくてもOK(吐き出すだけでも◎)



感情の整理が進むことで、次にやるべきことも見えてきます。
⑩ 遺しておきたい自分の言葉
書く目的
家族や大切な人に、自分の価値観や想いをさりげなく伝える。
書き方のヒント
- 「あなたに伝えたい言葉」や「座右の銘」などを記録
- 家族・孫・親友など、相手を想像しながら書くと伝わりやすい
- 必ずしも“死を意識する”内容でなくてもOK。今の気持ちで十分です。



これは、まさに“人生ノートだからこそ書ける”内容です。
まとめ|テーマに正解なし。あなたが「書きたい」と思ったことが正解です
人生ノートは、「これを書かなくてはならない」ものではありません。
むしろ、「今のあなたが自然に書きたくなったこと」こそが、心の声であり、その瞬間の宝物。



書けるときに、書けるテーマから始めてください。
それが、あなたらしい人生ノートの第一歩です。
まとめ|“人生ノート”は、第二の人生をもっと豊かにしてくれる
60代からの人生は“完成”ではなく、“始まり”でもある
60代は、子育てや仕事を一段落したあと、
“自分のための人生”がスタートする時期。
人生ノートは、その新しい出発をやさしく後押ししてくれる存在です。
毎日がただ過ぎていくのではなく、
「意味をもって生きている」と実感できる時間を生み出してくれます。



人生の“第2章”を、自分の言葉でデザインできるのが人生ノート。
書くことは「心を整える」ことにつながる
人は、言葉にすることで初めて自分の考えや感情に気づけます。
ノートに書いてみることで、
- 抱えていた不安が軽くなったり
- 自分の強さに気づけたり
- 新しい目標が浮かんできたり
そんなふうに、心の整理や前向きな気持ちが自然と生まれてくるのです。



人生ノートは「心のカウンセリングノート」とも言えます。
書いた“記録”が、未来の自分や家族への贈り物になる
ノートに残された言葉や思い出は、将来の自分や、大切な家族へのプレゼントにもなります。
- 「お母さんがこんなことを思っていたなんて…」
- 「昔の自分はこんな夢を見ていたなあ」
- 「書いておいてよかった」
そんなふうに、未来の誰かをあたたかく支える記録にもなるのです。



人生ノートは、未来に向けた“心のタイムカプセル”です。
「書くこと=生きること」がつながっていく
人生ノートに向き合うことで、
日々の出来事や感情、過去の思い出さえも「生きた証」として記録されていきます。
それはつまり、「自分の人生はかけがえのないものだった」と
自分で認める大切な時間にもなるのです。



誰の評価でもない、「自分自身による自分の人生の受けとめ直し」
それこそが、人生ノートの最大の価値です。
人生ノートを続けることで得られる“5つの変化”
- 毎日がちょっと豊かになる
- 自分を大切にする時間ができる
- 感謝や優しさが増える
- 未来に向けた目標が見つかる
- 家族との関係も深まる
最後に|自分の人生を、自分の手でつづっていく
人生ノートは、上手に書く必要も、毎日続ける必要もありません。
でも、1ページ書くだけで
「ちょっと心が軽くなった」
「なんだか気分が晴れた」
そんな変化を感じることができます。


書けば書くほど、人生は豊かに、心は自由になっていく。
60代からの人生を“あなたらしく生きる”ために、ぜひ今日から始めてみませんか?